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瀬上沢の里山を守れたら…

9月に入ってもまだまだ暑く、残暑が続いています。

庭のトマトはまだまだとれますが、それでも次男が学校から帰る途中に拾ってくるトチノミがたくさん集まり、娘と外を歩くたびにポケットがどんぐりでパンパンになる季節になりました。

昨日はイガ栗が落ちているのを見つけて、イタイイタイと言いながらかばんへ。

秋はかわいいです。撮影の小物も、夏のひまわりなどを片付け、木の実などの秋の小物類を増やしました。

さて、先日のブログに、「ころっぱ」の活動のためにいたち川の水質を調べていて、瀬上沢の開発が再度動いていることを知ったことを書きました。

 

その後いろいろと調べていく中で、昨日、横浜市最後の里山を守る活動をされている「認定NPO法人ホタルのふるさと瀬上沢基金」の事務所に伺う運びとなり、仕事を半休を取って来てくれた女性と、朝早くから下り電車に乗って来てくれた女性との3人で訪問してきました。

 

興味を持ってくださる方も多かったので、どんなことになっているのか紹介させていただけたらと思います。


瀬上沢は横浜市のはじっこ、栄区にある里山です。湿った谷では水が湧き、小川にはゲンジボタル、ヘイケボタルの両方が自生しています。私は普段は車でビューっと走り抜ける場所なのですが、子どもたちの長期休み中の自転車旅で何度か、えんやこらやと坂を登ったこともあります。

この山から湧き出た水はいたち川に注ぎ、最後は江の島に注ぎます。湘南エリアで人気の、片瀬川の小さな水源のひとつです。

瀬上沢も他の山と同様、開発され宅地になる予定でしたが、着工前にバブルが崩壊し、事業予定の企業が倒産した結果、手つかずの状態で残りました。

 

その事業を引き継ぎ東急不動産が開発計画を横浜市に提出したのが2007年。東京ドーム7個分の森を開拓し、マンションと住宅地、ショッピングモールや老人福祉施設、レクリエーション施設等にする計画でしたが、9万筆を超える反対署名が集まり、当時の中田市長が開発申請を却下したそうです。

 

しかし財政再建、経済成長を第一優先に掲げる林市長になると、東急不動産は規模を縮小した開発計画を再度提出。これに対し集まった11万筆を超える反対署名を無視し、横浜市は開発を承認しました。

 

一度GOの出た事業は止まらないことは、日本中あちこちにある前例が示していると思いますが、この瀬上沢の開発計画も、おかしなことばかりなのにどんどん手続きが進み、あとは着工を待つのみの状況になっているそうです。

 

なんといってもおかしいのは、人口が減少し、空き家問題や、老朽化したインフラ維持の問題からコンパクトシティが求められているいま、新たに山林をつぶして宅地を広げるという違和感。

 

横浜市は減り続ける緑地を保全するためにみどり税まで徴収しているのに、瀬上沢の開発は推進しています。

なぜなら、森林としてそのまま残しても何の税収にもならないけれど、宅地開発されれば固定資産税が1000倍になるから。作った宅地やショッピングセンターの中身が空っぽになろうが、税収は増えるから。そして開発により利益を得る人が計画を動かしているから。

 

新たな計画では以前の計画より規模を縮小したとはいえ、泉の湧き出る谷を大量の土砂で埋め立て、土留めを兼ねた道路を建造して固定します。

 

熱海の盛り土決壊災害があり、日本中で盛り土を見直しているなかで、決壊リスクを伴う盛り土造成をこれからしようという危険性を、こちらのNPOを中心とした保存活動をしている方たちが訴え、かろうじて着工に至っていないという状況です。

訪問したNPOの理事は瀬上沢を守る活動を始めて20年になるそうで、もう10年以上、東急不動産の株主総会に出席しては、開発よりも森林共存型の事業へ転換することのほうが企業価値が上がることを訴えてきたそうです。

 

10年前は耳も貸さなかった株主総会も、近年は社外取締役が増えたりして、少しずつ空気が変わってきているとのこと。 

このまま着工できずに延ばし続けることができれば、さらに人口減少とスマートシティ構想、森林保全の風潮が進み、事業として成り立たないものになり立ち消えるかもしれません。それには、この開発に関心を持ち、声を上げる人、行動する人がひとりでも増えることが求められるように思います。

私は環境保護論者ではなく、子どもたちに残せるべき財産を残し、背負わせなくても良い負担を背負わせたくないというだけのただのお母さんですが、少しでもお手伝いできるならと、次回はカメラを持って現地を案内していただく予定になっています。

 

次回のブログでは、もうじき開発で姿を消してしまうかもしれない、里山の美しい姿を、ご紹介できるかと思います。

 

一緒に行ってみたい、見てみたいと思われる方はご連絡ください。

瀬上沢にまつわることを知ってもらい、何らかの行動になるようなアイデアや人脈をお持ちの方も大歓迎です。