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「ヒアリングシート」は、地図のはじまり

私の手元にはいま、いくつかの「言語化を待っている思い」があります。

 

私が取材をして最後まで書き上げるものもあるし、
対話からストーリーの構成をつくるまでを私が担い、その先はご本人に書いていただくものもあります。

私は編集者で、ライターさんに書いてもらうものもあります。

 

オウンドメディア用の記事。
ホームページのサービス紹介。
社内報の社員インタビュー。
採用メッセージ。

それから、ストーリーブックをつくるための対話と取材。

 

どの取材でも、いきなり「会って話を聞く」ことから始めたりはしません。

 

だいじなのが、「ヒアリングシート」です。

Googleフォームを使った「ヒアリングフォーム」にすることもあります。

 

直接会って聞いたほうがいいことは、あえて書かない。
でも、会う前に知っておきたいことは入れておく。

 

そんなふうに作るヒアリングシートは、私にとって「地図のはじまり」のようなものです。

いただいた回答を読むと、最初に想像していたルートとは異なる進め方が見えてくることがあります。

 

オンライン取材を予定していたけれど、やっぱり現場にカメラを持って行くところから始めたほうがいいと思ったり。

まず会う予定だったけれど、先にオンラインでじっくり話を聞いたほうがいいと感じたり。

私が書く予定だったものを、「これはご本人の言葉で書いていただいたほうがいい」と思い直したり。

 

相手の方にとっても、ご自身を振り返る時間になっていると思います。

私はもらった回答を眺めて、「まだ言葉になりきっていないもの」にたどり着くための道を探します。

 

いま私の手元では、7本のヒアリングシートとヒアリングフォームが、それぞれの地図を描きはじめています。

 

どれも、まだ途中。

でも、面白い地図になっていく予感があります。

週末、少し息が詰まるような感覚があって、テニスのあと、娘とそのまま材木座海岸へ向かいました。

「まっすぐ帰る? 海に寄っていく?」

と聞くと、娘も「海行きたい」と言ってくれて。

 

海岸は、潮が大きく引いていて、いつもよりずっと広くなっていました。

普段なら海の中にある場所が、光って見える。

娘は、「氷みたい!」と駆け出して、
波打つ砂を歩きながら、「海の中に入っちゃった」と笑っていました。

その向こうに、普段は見えない島が見えました。

砂浜の端には、異様なほど、たくさんの丸石。

傍らには碑が立っています。

ここは「和賀江島」。

 

鎌倉時代につくられた日本最古の築港遺跡で、普段は水の中に消えてしまうけれど、干潮のときに現れて歩いて上陸することのできる、昔の漁港跡なんだそうです。

昔の人たちが漁港を作るために、たくさんの石を山から運んできたのですね。

普段は見えていないものが、潮が引くことで現れてくる。

 

編集の仕事と、ちょっと似ているような気がします。

 

表面のひとつ内側に、思いや努力、取り組みが隠れていることがある。

見えないからこそ、見えると面白いものです。

潮が満ちればこの石は姿を消します
潮が満ちればこの石は姿を消します

そういうのを見つけるのが、好きです。

波打つ砂も海底に戻ります
波打つ砂も海底に戻ります

さて、いまは月曜日の朝です。

今日はこれから、海の向こうにいる方への取材。

 

こちらは朝9時、
あちらは夜9時。

またひとつ、新しい地図を作りに行ってきます。