今日は、2つの媒体の色校正を確認していました。
色校正とは、本番と同じ用紙に実際に印刷し、色味や発色を細かく確認する作業です。
写真や文字だけでなく、紙の質感やインクの乗り方まで見ながら、一つひとつチェックしていきます。
「編集者」と書かれた自分の名刺をもらって嬉しかった若いころ、校正がザルだと、先輩に叱られました。
ポールスミスのトレンチコートを翻してエルメスの手帳を取り出し、堂々と経営者方に提案する10歳年上の女性が、
妥協のない精密な校正を書き込んでいく指先を、あれからずいぶん時間が経ったのに、色校正のたびに思い出します。
あの厳しい指摘のおかげで、いま「気づいてくれてありがとう」と言っていただけます。
今日色校正を見ていた媒体のクライアントとは、ちょうど1年前に一緒に山梨の印刷工場に行きました。
「号によって色が違って見える」
編集会議で指摘された色のブレ。
CMYK4色掛け合わせで作る色は傾きやすい特性があることを口頭で伝えたものの、いまひとつ伝わらず言い訳しているみたい。
そこで印刷会社さんにお願いして、現場を見せてもらうことにしたのでした。
大型の印刷機の並ぶ工場内。
色をつくる職人技。
どの紙色でも同じ発色になるよう、インクを練り上げるんです。
ほとんどの工程はデータ化が進んでいるのに、細かな調整をするのは人でした。
室温、湿度。
紙のロット。
紙を在庫していた期間。
インクのロット。
インクを開封してからの時間。
さまざまな要因が絡み合って、発色の具合は変わります。
刷り上がりを目視で確認して、細かな調整を機械に戻し、刷り上げていきます。
色校正のあとは、修正をして確認して、最後は「校了」と連絡します。
すると「下版します」と連絡が返ってきます。
「下版」は、「はあ~おわった~」と、嬉しくなる単語です。
今日は、2社の編集会議もありました。
編集会議で共有いただいたある会社の社内アンケートでは、「社内報に期待すること」という設問に対し、「息抜き」と回答する人が多数いました。
情報を得るためだけなら、わざわざ社内報をつくらなくても色々な方法があります。
でも、情報から「息抜き」という名の楽しさや気分転換を得られるのは、編集の手が加わっているからかもしれません。
情報を扱う仕事だけれど、これは「ものづくり」。
企画する人がいて、
取材する人がいて、
撮る人がいて、
書く人がいて、
デザインする人がいて、
印刷する人がいる。
それぞれの専門性を持ち寄って、一冊をつくる。
だから社内報は、ただ情報を届けるだけではなく、人の心に残り、人と人をつなぎ、少しずつ組織の文化を育てていく。
伝えることもまた、ものづくりなのだと思います。

