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編集のちからで会社を動かすということ

いくつかの会社のいくつかの仕事を並行して進めていますが、そのなかでいちばん重たいものは、ある会社のコーポレートサイトのリニューアルです。

 

創立30年。

 

事業変革の真っただ中にあるその会社には、さまざまな課題がありました。

 

経営者の考えが従業員に十分に伝わっていない。

会社の中で何が動いているのか見えにくい。

他のメンバーがどんな仕事をしているのか、どんな人なのか知らない。

会社の考えや強みが社外にも伝わっていない。

課題を挙げればきりがありません。

 

私はこの課題に対し、「コーポレートサイトをリニューアルしましょう」と提案しました。

それがちょうど1年前のことです。

 

はじめ、社長は半信半疑だったそうです。

それでも私は、「見える姿」を変えることが、会社の中に散らばっている考えや取り組みをつなぎ、組織を前に進める力になると考えていました。

 

まずは課題を整理し、仮説を立てる。

その仮説が正しいかを確かめるため、社内のさまざまな人に話を聞く。

 

創業時からいるメンバーにも、新しく加わったメンバーにも。

 

何度も対話を重ねながら、会社の中にある点を拾い集めていきました。

 

共感してくれる人たちと小さなプロジェクトチームを立ち上げ、社内でプレゼンを行い、制作会社を選定し、サイトの構成を考え、コピーを書き、少しずつ形にしていく。

 

コーポレートサイトづくりは、デザインを決めれば終わりではありません。

問い合わせの導線ひとつにも組織体制が関わります。

取引先ロゴの掲載ひとつにも、多くの確認作業が発生します。

 

だからこそ、サイトをつくる過程そのものが、会社を見つめ直す時間になります。

 

そして先日、社長からこんな言葉をいただきました。

 

「本当は半信半疑だったんです。でも進め方や、進めながら社内が変わっていく様子を見て、本当に良かったと思った」

 

まだ完成していません。

でも、作っていく過程そのものにも意味があったと感じています。

 

この一連の作業は、「編集」の仕事、そのものです。

 

ひとつひとつの点を拾い上げる。

点と点をつなぐ。

そうして少しずつ輪郭を与え、見える形にしていく。

 

編集という言葉を使うと、文章を書いたり、本を作ったりする仕事を想像する人が多いかもしれません。

 

でも私は、編集とはもっと根源的な行為だと思っています。

そんなことを考えていたら、7歳の娘が面白いものを作っているのが、目に留まりました。

もとになったのはこちら。

スーパーで買ったトマトの箱に入っていた、緩衝材です。

娘はこれを見て、ピンと来たようです。

 

切って、

描いて、

縫い合わせて、

こんな謎の生き物が2匹、生まれました。

たぶんあと2匹増えます。

私は会社の中に散らばっている人や考えや取り組みを見ています。

娘はトマトの箱の中に、まだ名前のない生き物を見つけました。

 

違うようで、似ている気がします。

 

何もないところから生み出す創作活動ではなく、

すでにあるものの中に関係性を見つけ、

意味を与え、

形にしていく。

 

編集とは、そういう仕事だと思っています。

 

会社の中でも。

暮らしの中でも。

 

点と点がつながったとき、人は少し動き出します。

 

だから難しいけれど、面白いんです。