· 

「カメラマンは誰でも同じ?」ある社内報の撮影でのこと

面白い出来事がありました。

 

私はいま、日本中の企業の「インターナルコミュニケーション」に関わる会社で正社員として働いています。
社内報の制作や対話の場づくり、システム開発などを通して、企業活動を“内側”から支える仕事です。

 

昨年、コンペを経て茨城県日立市にある大手製作所の社内報を受注しました。
年4回発行する社内報で、この1年、丸ごと担当してきました。

 

私の会社はデザイナーやカメラマンなどはすべて外部委託しており、組織に所属せず自分の腕で生計を立てているカメラマンと何人もお付き合いがあります。


ただ、みなさん都内在住。

日立市までの撮影は、片道3時間以上の移動になります。

 

彼らは自分の腕一本で仕事をしてきた、非常に高い品質を誇るプロフェッショナルです。
当然、撮影費も安くはありません。

そこに出張費と交通費が加わるため、毎号それなりの費用がかかっていました。

 

4号目が終わったとき、撮影費についてクライアントに相談しました。

すると、こう言われました。

 

「写真にそこまでのこだわりはありません。
きれいであれば、カメラマンは誰でもいいです」

 

そこで5号目は、茨城県在住のカメラマンも所属する業者さんに依頼し、当日空いている方をアサインしてもらうことにしました。

 

機材はしっかりしていました。
カメラもストロボも、ちゃんとしたものです。

撮影費も、これまでのカメラマンと同じ。

 

でも。

 

写真が違いました。

違いを言葉で説明するのは難しいのですが、

目線
姿勢
情熱

そして、何よりセンス

 

この会社なら、こう撮ったほうがいい。
そう感じるセンス。

それを引き出す技術。

 

そして、相手がどんな立場でも妥協しない、ひるまない強さ。

 

そういうものを、すべてのカメラマンが持っているわけではありません。

 

その違いは、写真を並べると一目瞭然でした。
さらにデザインに落とし込むと、誰が見てもわかるほど、5号目はパワーが落ちていました。

 

撮影に立ち会っていたクライアントも、実は撮影中から違和感を感じていたそうです。

 

場所を選ぶときの観察眼。
被写体への声のかけ方。

それが、これまでと違った。

 

「普通」だったからです。

 

そして出来上がった写真を見て、クライアントはこう言いました。

 

「私が間違っていました」

 

「写真は大事なんですね。
これまで社内でも“写真がいい”と言われていたんです。

カメラマンなら誰でも撮れるわけじゃない、ということが分かりました。
撮影費はこちらで頑張ります」

 

こういうことがあるから、仕事は面白い。

 

巨大企業のコマとして働いているように見えても、
その中にいる一人ひとりは、やっぱり

 

少しでも良い仕事をしたい。
自分の会社を、もっと良くしたい。

 

そう思っている。

 

そんな瞬間を感じられただけで、
私は会社員になってよかったと思います。

 

(じゃあ、なぜまた自分の仕事を立ち上げようとしているのか。
それは、また別の機会に。)

 

最後に、私のカメラで撮った春の写真をお届けします。

 

被写体は、雑草です。

 

ホトケノザ。

オオイヌノフグリ

お花に気付いた娘。

これは何の花?

道に咲いていて、娘が「お洋服にしたい」と言っていました。

道端の雑草にも光を空気を感じられる写真を撮れるのは、良いカメラだからです。

 

カメラと写真の奥深さ。
これからも追究していきます。